Hitotsubashi Institute for Advanced Study

世界最高水準の社会科学研究の推進

一橋大学は、社会科学の研究総合大学として、日本における社会科学諸分野の研究を常にリードしてきました。現代では、学術研究の国際化が急速に進むとともに、社会的重要課題の解決に向けた大学の貢献が社会から強く求められています。このような背景を踏まえ、本学は研究の一層の高度化と国際化を推進し、社会科学における世界水準の研究を実行するため、2014年に学長直轄の組織として「一橋大学社会科学高等研究院」(Hitotsubashi Institute for Advanced Study: 略称HIAS) を設立しました。

HIASには2つの主要な役割があります。第1は、国際共同研究のハブとして機能することです。各学術領域のフロンティアで活躍する海外の研究者を随時招聘し、本学教員との国際共同研究を促進して、世界水準の研究成果を生み出し発信することを目指しています。HIASでは活発な研究交流が可能となるように、海外から研究者を招聘する期間は1か月程度から1年までの範囲で出来る限り柔軟に設定できる仕組みを取り入れています。

HIASの第2の役割は、日本及び世界の喫緊の社会的重要課題に対して学際的に取り組む部局横断的研究の中核となることです。本学はこれまでも、社会、経済、法制等における諸課題の解決・制度改革に資する研究や、企業経営の革新に結実する研究など、実学―社会の改善に実際に貢献する学問―としての研究に強みを持ち、その基盤として基礎・応用研究も同様に重視してきました。本学のこの伝統を引き継ぎ、社会インパクトの高い研究成果を生み出すためには、社会課題に応じた分野横断的研究組織を一層強化する必要があります。HIASはこれまで「グローバル経済研究センター」と「医療政策・経済研究センター」において学際的研究を活発に推進し、国内外の研究拠点として活動してきました。2020年には新たに「EBPM研究センター」と「地域・中小企業政策研究センター」を設置し、分野横断的な研究組織の中で研究者間の相互作用を醸成し、多様なアプローチから集中的な研究を行うことで新規の研究業績と社会提言・政策形成支援につなげていくことを目指しています。これらの各センターにおいて研究プロジェクトを推進するとともに、国際水準に基づいて研究成果を検証し、必要に応じてセンターの再編を行います。

一橋大学は、これからもHIASを中核として、国際共同研究により世界水準の研究成果を生み出すとともに、社会的重要課題に対する学際的な研究を全学的に推進し、社会に貢献していきます。このミッションの実現のため、世界各国の研究者がHIASに集い、さまざまな研究活動に参加されることを強く期待しています。

一橋大学長
社会科学高等研究院運営評議会議長
中 野  聡(NAKANO, Satoshi)